★試すと欲しくなる・・人の心理とはそういうもの
多くの人が経験したことがあると思います。
洋服を買おうと思った時、試着したらついつい欲しくなって買っちゃった~!ということ。
また、試着した洋服は全て買うか・・と言ったらそういうわけではなく、
「なんか違う」と購入を見送った経験もあるはずです。
では、脳が「買う」と判断する時と「買わない」と判断する時の『決め手』はなんだと思いますか??
それは頭の中でキラキラ輝く未来の私がイメージ出来るか否かです。
このスーツを着たら出来る男に見えそうだ!
この時計をつけたら仕事へのモチベーションが上がりそうだ!
この靴を買ったら毎朝の通勤が楽しくなりそうだ!!などなど・・
つまり、お客様に「買いたい!」「欲しい!」と思ってもらう為には、
お客様が理想とする未来を頭の中でイメージしてもらうことが大切です。
クルマ屋さんの営業マンもいかにして『試乗』にもっていこうかを考えます。
洋服と一緒で乗ってみたら欲しくなる・・ということは実際にあることです。
しかし、何百万という高額商品ですから洋服のようにイメージだけで
簡単に結論が出る・・というものでもありません。
だからこそ、お客様が試乗で抱いたイメージが間違っていないことを
+αの要素としてお客様ご自身に確認していただく必要があります。
車の試乗になぜ営業スタッフが同乗するか・・を考えたことはありますか??
車の操作方法をお客様に教える為だけではありません。
お客様に商品の魅力を確実に感じていただき、持ち帰ってもらう為・・です。
普段、私たちは「環境」の中になんとなく身を置いて過ごしています。
全体を1つと捉えているため、自分の周りにあるモノ1つ1つに焦点を当てながら
生きているわけではありません。
つまり、試乗したからといってお客様が商品の魅力1つ1つを理解して
持ち帰って下さるわけではない・・ということです。
私の母も新車を購入した際、何度も試乗しましたが「良かったよ」というわりに、
「小回りはきいた?」「加速感はどうだった?」「アクセルの踏んだ感覚は?」と
具体的な質問をすると何一つ覚えていませんでした。
これがお客様の『リアル』です。
そして、こんなにもアバウトな感覚では勇気をもって
「買う」という結論を出すことができません。
この車で間違いない!この車が欲しい!と思っていただくためには
未来のワクワクするイメージと、そのイメージを裏付ける事実を
1つ1つ確認していただくことが重要です。
★お客様の意識を商品の魅力1つ1つに向ける方法
その方法は簡単です。ズバリ!営業マンの声掛けです。
「視界の広さはいかがですか?」
「天井の高さはどう感じますか?」
「アクセルの踏んだ感覚はいかがですか?」
こうすることでお客様の意識は1つ1つに向けられ、
その良さがお客様の記憶にインプットされていきます。
また、これは補足ですが・・ここでの『聞き方』もポイントです。
ついついやってしまいがちなのが・・
「視界も広くていいですよね」
「天井も結構高くていいですよね」
「アクセルもしっかりとした踏み心地だと思います」
声掛けの『違い』はお分かりになりますよね??
ついつい具体的にこちらから言いたくなる心境も分かります。
しかし、これはあくまで営業マンの意見であり、売り文句です。
お客様は同感できなくても、営業マンから「広いですよね」「高いですよね」と言われれば
おそらく「そうですね」と答えるでしょう。
なぜなら人はいちいち「NO」という返事をしたくはないからです。
大した話でなければ「そうですね」と答えておいた方がラクだからです。
お客様の「いいですね」を安易に受け取らないことです。
反応良かったから決まるかなぁ・・と思いきや、
買わずにサッサと帰っちゃった・・なんて時にはこのパターンです。
お客様への声掛けのポイントはお客様の言葉で「そうですね」をもらうことです。
なぜなら人間は自分で「YES」と出した答えには逆らえないからです。
「視界の広さはいかがですか?」と聞かれれば、視界の高さや広さを自分の目で確認して、
頭の中では今乗っている自分の車とも比較しながら答えを出します。この工程がとても大切です。
自分の思い描いた未来のイメージが実現できそう・・と
「自分で」感じることが出来れば購入意欲は間違いなく上がるでしょう。
★カタログ・展示車・・何のためにあるかを理解して使っていますか?
「カタログ」・・全ての情報が載っているので商品説明時に役立つから・・
「展示車」・・実際の色や大きさを確認してもらえるから・・
間違ってはいませんがこれでは各ツールを最大限に活用できている・・とは言えません。
全てのツールの根底にあるもの・・
それはズバリ!!「お客様の感覚を刺激するため」です。
なぜか??
人間は「全ての情報を感覚から得ているから」です。
「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、言葉だけで伝えるよりも
カタログや展示車を見てもらったほうが営業マンだって説明がしやすい・・と思いませんか?
なぜ「説明しやすい」と感じるのか??
それは、短い説明でも伝わっている手応えを感じることができるからではありませんか?
では、なぜ短い説明でも伝わるのか??
それは実際の車や写真をお客様ご自身の目で見ているから・・ですよね。
説明で足りない部分を目から入ってくる情報でお客様ご自身が補っているから伝わるわけですよね。
このように私たちは言語情報や視覚情報、触覚情報や聴覚情報・・といった
様々な感覚を通して情報を得ています。
当然、複数の感覚を組み合わせれば組み合わせた分だけ
お客様が得られる情報量は多くなります。
試乗するとほしくなる・・のはこのためです。
つまり、ここで言いたいことは、自分達が普段何気なく使っているツールも、
そこにあるからただ何となく使う・・のではなく、お客様の感覚を刺激するんだ!という気持ちを持って
活用することでお客様への伝わり方が変わる・・ということです。
限られた時間の中で結果を出すためには「感覚」への効果的な刺激を大切にしましょう。